うさぎのーと

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うさぎのーと』は、師走冬子による絵本作品である。

概要

これまで4コマ誌や成年漫画誌などを中心に発行してきた出版社の芳文社が、児童書の分野に進出するにあたり新たに設けたレーベル「ほうぶんしゃ きららえほん」の第1シリーズとなる作品である。

師走冬子は、主に4コマ漫画の分野で活躍している漫画家であり、その絵の可愛らしさには定評がある。また、萌えを余り意識していないにも関わらず、その作品には多くの萌え要素が含まれていることから、芳文社では「師走ならば、意識せずとも、萌える絵本を作ってくれるのではないか」と考えたため、「きららえほん」の第1シリーズが師走に依頼されることとなった。

2006年に第1作となる『うさぎのーと その1』が刊行され、好評のためその後シリーズ化されており、2008年8月現在では既に15冊以上が刊行されている[1]。「絵本」というものの一般的な読者層である未就学児(幼稚園児・保育園児など)~小学校低学年だけでなく、もともと著者の4コマ漫画作品を読んでいたファンも本作品を購読しており、これが発行部数に大きな影響を与えていると言われている。

作品は、森の中にある小学校に、小鳥ラッコなどの様々な動物たちが通っている、という設定で、生徒だけでなく教師も全員が動物である。2年C組の担任である「うさぎ先生」を中心に、クラスの生徒たちや、小学校で働く先生たちの、賑やかで楽しい学校生活が描かれる。

主な登場動物

本作品は、主に未就学児などへの教育的な用途(例えば「持ち物には名前を書く」「『○○さん こんにちは』などのように挨拶をする」など)に用いられることを前提としているため、登場する殆どの動物には、日本人ふうの名前がフルネームで設定されており、それは作中においても「名前」として用いられている。また、性別についても「オス」「メス」のような生物学的な表現は用いられず、人間の小学校の実態に即した「男の子」「女の子」や「男子」「女子」などのような表現で記されている。

要するに、姿こそ動物として描かれているものの、その点以外は、人間社会において人間の子供が通う小学校と、全く同じように描かれているのである。

『その1』から登場している動物は5名のみであるが、絵本の分野での過去の名作(『アンパンマン』シリーズ、『ノンタン』シリーズなど)に倣い、作品数を重ねるにつれて登場動物は少しずつ増加している。ここでは、最新作を基準に、主な登場動物について簡潔に記す。

2年C組

主人公の「うさぎ先生」。ウサギそのものであることを示す白い耳が特徴。一見すると二足歩行しているように見えるが、本作品の登場人物は殆どが二足歩行しているので、世界観としては矛盾していない[2]
宇佐見雪(うさみ ゆき)
通称「うさぎ先生」。文字通り、ウサギの女の子。本作品の主人公。担当教科は理科。
2年C組の担任教師であるが、外見も行動も一見すると生徒とあまり変わらないように見える。
身体的には「耳」が最大の弱点であり、耳を掴まれると一切身動きできなくなる。
小鳥遊空太(たかなし そらた)
通称「そーた」。小鳥の男の子(鳥の種類は不明)。
何でもできる優等生で、クラスの皆とも仲が良いが、「やりたいこと」が見つからなくてちょっと悩んでいる。
貝原楽子(かいばら らくこ)
ラッコの女の子。
そーたのことが好きで、いつもあれこれと努力しているが、そのほとんどが空回り。
針羽蜜子(はりう みつこ)
通称「ハニー」。ミツバチの女の子。風紀委員長。
“眼鏡”で“三つ編み”という委員長らしい雰囲気をもつ。
早久万里(そうく まり)
通称「くまり」。の女の子。楽子のボケに対するツッコミ役。
片岡瞑(かたおか つむり)
カタツムリ。雌雄同体。
一見すると女の子のようであるが、「男の子なのに女の子の制服を着ている」という設定。でも、他の男の子たちの憧れの的。

教師

2年C組以外の生徒では、名前をもつ登場動物はいない。また、作品の舞台は小学校であるが、教師の特徴づけをし易くするためか、何故か教科担当制がとられている。

犬飼恭二(いぬかい きょうじ)
通称「犬飼(弟)先生」。の男の子。2年B組担任。
いかにも粗暴そうな“狂犬”のように描かれているが、担当教科は家庭科で、料理や裁縫なども上手い。兄を溺愛している。
犬飼忠一(いぬかい ちゅういち)
通称「犬飼(兄)先生」。の男の子で、恭二の兄。担当教科は社会科。2年A組担任。
こちらは弟とは異なり、大人しく穏やかな性格。
袋小路圭(ふくろこうじ けい)
養護教諭保健室の先生)。
常に、空気穴を開けた紙袋のなかに全身を入れ、手足のみを袋から出した状態で行動している。性別や、何の動物であるかなどは、作中では一切明らかにされず、他の登場人物の誰もその正体を知らない。
香鳥小巻(かとり こまき)
人間の女の子。担当教科は体育科。2年D組担任。本作品で唯一の人間[3]
著者の4コマ漫画作品『女クラのおきて』の主人公「桃栗小巻」と同一人物。同作品の登場人物は全て人間であったが、小巻は最も動物らしい“野生児”として描かれていた。
大迦ミオナ(おおか みおな)
の女の子。教頭だが、校長が余りにも仕事ができないため、その業務を代行している。
――というのは表向きの理由であり、ほんとは校長が好き。でも言い出せない。
日辻(ひつじ)(※下の名前は不明)
の男の子――といっても、羊なのに全身の半分以上が禿げており、壮年であることを窺わせる。この学校の校長

ストーリー

本作品では、各作ごとのサブタイトルは特に設定されておらず、1作目は『うさぎのーと その1』、10作目は『うさぎのーと その10』というように、作品数の通し番号をそのまま「その○」の形でタイトルとしている。

通し番号が振られてはいるものの、2作目以降には「あらすじ」と登場動物紹介(「このおはなしにでてくるどうぶつたち」)が冒頭に記されているなど、どの番号の作品から読み始めても楽しめるような配慮がなされている。また、人気シリーズであるため、過去の作品も大型書店や通信販売などであれば比較的容易に入手することができる。

ところで、専門家気取りたちによる某百科事典においては、創作物のストーリーを説明する際には、“著作権を侵害しないような記述”を重視するあまり、内容が大きく省略されるのが常である。が、アンサイクロペディアでは、本作品の記事を起こすにあたり、『うさぎのーと その1』の作品の全文をここに転載することとした(JASRAC承認済み)。

なお、原文の大半は平仮名で記されているが、本記事では可読性の観点から適宜漢字に置き換えた。また、漢字に付されている振り仮名も、固有名詞以外は原則として省略している。

  『うさぎのーと その1』 絵とおはなし:師走冬子(しわす とうこ)
 
 
 ここは森の中の小学校。
 小鳥の「そーた」くんが、今日も元気に学校にやってきました。
 そーたくんは今日から2年生。あたらしいクラス、あたらしい先生。ちょっと楽しみです。
 
 2年B組の教室に着いてみると、あれ、何だか皆が騒がしいですね。どうしたんでしょう?
 と、ラッコの「楽子」ちゃんが、そーたくんに声を掛けてきました。
 「そーた!」
 「おはよう、どうしたの?」
 「教室に、知らないウサギさんがいるの! けーさつ呼ばなきゃ!」
 
 そーたくんが教室をのぞいてみると、そこには、
 可愛らしいウサギの女の子が、まるで日なたぼっこをするように眠っていました。
 確かに、知らないウサギさんです。どうして、こんなところで眠っているのでしょう?
 
 
 「よし、起こしてみるよ。」
 「やっ…、やめなよ そーた!! あぶないよ」
 と、楽子ちゃんが大きな声を出すと、それが聞こえたのか、ウサギさんは目を覚ましたようです。
 ウサギさんは、寝惚けまなこでそーたくんのほうを見ると、
 「そーた…? あれ…
  小鳥遊(たかなし)くん? おはよう
 と、眠そうな声でそーたくんに声を掛けました。
 
 「そーた、このひと誰? 知ってるひとなの?」
 と楽子ちゃんが訊きますが、もちろん、そーたくんも知りません。
 
 みんなが不思議がっていると、ウサギさんは、突然はっと我にかえって
 「しまった、やっちゃった?」なんて言いながら慌て始めました。
 
 そして、ひとつ咳払いをすると、みんなに向かって、
 「…今日からこのクラスの担任をすることになりました、宇佐見雪(うさみ ゆき)です
 と、あいさつをしました。
 
 
 なんと、このウサギさんは、新しい担任の先生だったのです。
 
 
 たちまち、みんなは大騒ぎ。
 「えー、本当に先生なの?」
 「何で教室で寝てたの?」
 と、口々に質問をしてきます。それはそうですよね。
 
 「わ、私は、今日みんなに初めて会うから、
  みんなが先生のことを好きになってくれるようなあいさつを、一生けんめい考えて、
  で、ゆうべから一晩じゅう、そのあいさつの練習をしてて……」
 
 どうやら、先生は、その練習をしているうちに眠ってしまって、
 そして、そのまま朝になってしまったみたいですね。
 みんなも、ちょっとあきれ顔です。
 
 
 「えーと では 出席を取ります!」
 先生は気を取り直して、出席を取ろうとしましたが、
 あれ、先生は手に何も持っていませんよ?
 初めてみんなに会ったのに、名簿や出席簿が無いと、みんなの名前がわかりませんよね?
 
 ところが、誰かが気が付いて、「先生、名簿は?」と聞くと、
 「なくても大丈夫。それは、おぼえてきたから」と、先生は自信たっぷりです。
 
 「えーと、小鳥のあなたは、小鳥遊空太(たかなし そらた)くん。
  クラスで一番勉強が得意なのよねー」
 「ラッコのあなたは貝原楽子(かいばら らくこ)さん。
  ハンバーグを作るのが得意なのよね、私も大好き」
 「ミツバチのあなたは針羽蜜子(はりう みつこ)さん。
  メガネはカメさんのお店で作ったのよね、よく似合ってるわよ」……
 
 先生は、初めて会ったはずのみんなの名前を、次々と言い当てていきます。
 一体、どうやっているのでしょう? みんな驚いたり感心したりと大忙しです。
 「うさぎ先生、すごーい! 本当にみんなおぼえてるんだ!」
 「このくらい当たり前よー^^」
 
 
 と、そのとき、突然、教室の扉が、“がらっ”と大きな音を立てて開きました。
 みんなが扉のほうを向くと、犬の男の子がひとり、入口に立っています。
 目つきが鋭い、ちょっと怖そうな犬さんです。
 犬さんは、先生のほうをじろっと睨むと、
 「きさま、職員室に来るの忘れてるだろ!」と、うさぎ先生のほうに走ってきます。
 
 「きゃーっ!、人さらいー!」
 「人さらいじゃねぇ! 2のBの担任の犬飼恭二(いぬかい きょうじ)だ!」
 あらあら、うさぎ先生はずっと眠っていたから、朝、ほかの先生に会わなかったんですね。
 
 「とりあえず、先に職員室に来い!」
 犬の先生は、まだ慌てているうさぎ先生の首のところを口でくわえると、
 そのまま連れて行ってしまいました。
 
 
 「……あのひと、本当に先生なのかなあ?」
 「でも、今日初めて会うのに、みんなおぼえてるって、すごいよねー」
 「そんなの、春休みのあいだに調べてたんでしょ? 先生は宿題無いんだもん」
 短い時間で、いろんな不思議なことがあって、みんなおしゃべりが止まりません。
 
 「でも、それでもおかしなところがあるわ」と、ミツバチの「ハニー」ちゃんが言い出しました。
 「わたしがメガネを掛けはじめたのは、昨日からなの。
  なんで、そんな最近のことまで知ってるの?
 
 「それって……どういうこと?」
 みんな、答えが思いつかなくて、頭に大きな「?」の字を浮かべています。
 いったい、うさぎ先生は、どうやってみんなのことをおぼえたんでしょう?
 
 
 でも、みんなが首をかしげるなかで、そーたくんだけは、ちょっと、わくわくしていました。
 
 「(うさぎ先生って、不思議なひとだなあ。
   でも、なんだか、これから学校がもっと楽しくなりそう)」
 
 あたらしいクラス、あたらしい先生。
 これから、2年C組の、あたらしい1年間が、はじまります。
 
 
 (つづく。)
 


※出典:芳文社『うさぎのーと その1』(ISBN 9784832266650)

脚注

  1. ^ 尤も、『その1』というタイトルや、その内容が次巻以降の展開に期待をもたせる内容であることなどから、実際には初めからシリーズ化が予定されていたというのが、ファンの間では通説となっている。
  2. ^ 様々な動物が二足歩行をし、人間と同じような社会性を有している、という設定の作品は、漫画・絵本とも数多い(その代表例は、漫画では『ぼのぼの』(いがらしみきお)、絵本では前述の『ノンタン』シリーズであろう)。
  3. ^ 動物ばかりの作品にひとりだけ人間が混じっている、という設定をそのまま文章で書くと違和感があるが、著者は「まあ人間も動物のうちですから」という立場をとっている。