お役所言葉
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お役所言葉( - やくしょことば)とは、日本の政府、省庁、役所、行政機関で使われる難解な言語。 日本語の語彙を使用するが、意味がまったく異なる言葉も多く、日本人にとっても理解は難しい。霞ヶ関文学とも言われる。
概要[編集]
一般市民が役所を利用したり、行政の見解をテレビなどで見聞きしたりする際、お役所側にとって都合の悪い事柄が市民に知られてしまう場合がある。これはお役所にとって一大事であるため、一般市民の思考を制限するためにこのような言語を用いる。
江戸時代にはすでに「候文(そうろうぶん)」として存在していたが、昭和から平成にかけて顕著な進化を遂げた。歴代の総理大臣を始め閣僚・官僚など政治家やキャリア組は、この言語を自在に操る。逆に言えば、これを使いこなさなければ偉くはなれないのである。
用語・用法[編集]
日本語とまるで反対の意味を持つもの、何だかよくわからないものがあるので、素人が使う際は注意が必要である。
お役所言葉 | 読み方 | 日本語訳 |
---|---|---|
前向きに検討する | まえむ - けんとう - | 永遠に検討しない |
対応を協議する | たいおう - きょうぎ - | 先延ばしにする。 |
早急に対策を練る | さっきゅう - たいさく - ね | 何もしませんが、何か? |
何らかの処置を取る | なん - しょち - と - | 何もしませんが、何か? |
全力を挙げて対応する | ぜんりょく - あ - たいおう - | マスコミがウルサイので、今まで怠ってきた職務を、今回に限り、普通に遂行する |
総合的に考えて | そうごうてき - かんが - | たぶん |
十分に配慮し | じゅうぶん - はいりょ - | (自分の仕事が増えないように政治家や上司の目に)十分に配慮し |
諸般の事情に鑑み | しょはん - じじょう - かんが - | どうせ無理だけど、一応お偉いさん方の顔色を窺って |
厳粛に受け止めて | げんしゅく - う - と - | ほとぼりが冷めるまで何か対策をするフリをするけど、その後は適当に放置で |
真摯に受け止めて | しんし - う - と - | 悪いのは自分ではない、もちろん反省もしていない |
誠に遺憾 | まこと - いかん - |
|
反省すべき点は反省し | はんせい - てん - はんせい - | 「反省すべき点」? 無いから反省できないなぁ |
痛恨の極み | つうこん - きわ - | あの野郎(部下や後輩)、俺に恥をかかせやがって! |
再発防止 | さいはつぼうし | もし再発しても適当に謝っとけばいい |
厳正に処置・処分 | げんせい - しょち・しょぶん | 少なくとも懲戒解雇・免職はないのであしからず |
事実であれば | じじつ - | 事実と認めてたまるか! |
職員教育を徹底して | しょくいんきょういく - てってい - | 私は少しも悪くない。全て部下の責任としておこう |
可及的速やかに | かきゅうてきすみ - | のんびりお茶でも飲みながら |
遅滞なく実施する | ちたい - じっし - | みんなが忘れた頃にやるかもしれないよ |
粛々と行う | しゅくしゅく - おこな - | 反論・異議は無視する |
各方面に働きかけつつ | かくほうめん - はたら - | 一応親しい人にメールの1通くらいは出しておいて |
国民の目線に立って | こくみん - めせん - た - | うるさいマスコミに騒ぎ立てられないよう美辞麗句で取り繕って |
情報を共有しながら | じょうほう - きょうゆう - | 責任の所在を曖昧にしながら |
喫緊の課題 | きっきん - かだい | 自分にはどうでもいい問題 |
特段の事情がない限りにおいて | とくだん - じじょう - かぎ - | 途中で飽きちゃったらゴメンね |
追って通知する | お - つうち - | 永久に通知しない |
現在調査中のためコメントできない | げんざいちょうさちゅう - | 調査なんかしませんが、何も言いたくないから嵐が過ぎ去るのを待っているだけなんですが |
担当者が不在のためコメントできない | たんとうしゃ - ふざい - | 担当者は俺だけど何か? |
担当はただいま席を外しております | たんとう - せき - はず - | 絶対に面倒なことになるからお前とは話したくない (これが続く場合、本当に雲隠れしている場合もある) |
何か申し上げる立場にない | なに - もう - あ - たちば - | 面倒っちいことには関わりたくないから、そういう話は他所でやってくれる? |
国民の皆様におかれましては | こくみん - みなさま - | うだうだうるさい連中については |
ご理解を頂きたい | - りかい - いただ - | これ以上余計な文句を言うなよ |
すでにお答えしている | - こた - | まずい質問が来たからさっきのでうやむやにしたよね? もう同じ質問はするなよ! |
適切な措置 | てきせつ - そち | 今年の予算を無事に消化できて、かつ一番楽チンな対応 |
~というふうに思う | - おも | 一応、~と思っているが違うかもしれない |
全身全霊 | ぜんしんぜんれい | 米粒を指で潰すくらいの力 |
不退転の決意 | ふたいてん - けつい | 口先ではこれくらい言っておこう、程度の決意 |
忌憚のない意見 | きたん - いけん | 上司や先方に対して空気を読んだ意見 |
誠心誠意 | せいしんせいい | 枕詞。単に「努力する」などと言うとイマイチ格好がつかないときに添える |
厳重注意 | げんじゅうちゅうい | お役所や省庁、議員、マスコミなど権力で守られた者たちの「一応ペナルティは与えておきましたから」的な広報向けのパフォーマンス。または責任追及だけで幕引きする者たちの姑息な手。 |
アウトソーシング | - | 天下り会社に丸投げすること |
インフラ整備 | - せいび | 天下り会社が道路や橋を作ること |
ユニバーサルサービス | - | 公務員全員が豊かに暮らせるようなサービスのこと |
ライフライン | - | 公務員の利権のこと |
ワーキングプア | - | 自分には関係のない貧乏人 |
サマータイム制度導入 | - せいどどうにゅう | サービス残業奨励 |
記憶にございません | きおく - | こんなの素直に認めたくないけど否定すると偽証罪になってしまう |
あなたとは違うんです | - ちが - | もう俺は疲れてるんだ、お前のようなバカと付き合ってられるか |
個別の事案についてはお答えを差し控えます | こべつ - じあん - こた - さ - ひか - | まだ対策を考えていません |
法と証拠に基づいて | ほう - しょうこ - もと - | 面倒臭いことを後回しにしながら |
想定外 | そうていがい | 知っていたけど都合が悪いので知らないふりをしていたこと |
直ちには | ただ - | 関係者の任期中には |
影響しない | えいきょう - | 影響するかもよ。でも、国として因果関係を確認することはできないなぁ。残念だなぁ |
業務に差支えがあるので失礼します | ぎょうむ - さしつか - しつれい | こんなとこでお前の相手してると遊ぶ時間がなくなっちまうだろが! |
連携を図りながら | れんけい - はか - | 責任の所在を曖昧にしながら |
軽過失の枠内ではあるものの、比較的重度の過失であった | けいかしつ - わくない - ひかくてきじゅうど - かしつ - | しようがないからちょっとは責任認めるけど、お金は払いませんよ |
データは短期間で自動的に消去されて復元できない | たんきかん-じどうてき-しょうきょ-ふくげん | 都合の悪い情報は自動的に消える |
現時点ではお答えを差し控える | げんじてん - こた - さ - ひか | 永遠に答えない |
今回は見送りとする | こんかい - みおく - |
|
そのような報告は上がってきておりません | ほうこく - あ | あの報告なかったことにするかぁ |
模範例[編集]
- 原文
- お答えを申し上げます。先ずは近年のサブプライムを端緒とします世界同時株安に対しまして、内外のシンクタンクが様々なスキームで対応しておるということは公知の事実であろうかと存じます。そこで政府と致しましては、マスタープランの作成が喫緊の課題であろうかというように考えておるところで御座いまして、可及的速やかな解決に向けまして、引続き鋭意努力して参る所存であります。
- 尚、燃料価格の高騰や環境問題その他等につきましては、各担当省庁におきましても現在鋭意解決に向けた努力をしておるというように承知しておりますけれども、現段階におきましても必ずしも解決が為されていないということは誠に遺憾に存じております。
- いずれに致しましても、先ずは斯様な現況を厳粛に受け止めねばならないと存じます。引続き、各方面と対応を協議するなどの、情報交換や解決に向けた連携を図りながら、所要の対策を講じて参りたい、このように考えておる次第で御座います。
- 現代
誤語 訳 - 本質を隠して回りくどく説明します[訳注1. 1]。最近の経済問題はいろんなところが対策してるふりと大騒ぎをしてて大事アピールに抜かりないので、一般大衆は給料が上がらなくてもしょうがないとあきらめていることでしょう。政府も取り組んでいるポーズをしてカッコつけたいので、自分にはどうでもいい課題ながら、考えているふりをして休んでいるところで、のんびりお茶を飲みながら、解決に向けて頑張っている形だけは作っていこうかとしているところです。
- どうでもいい問題ながら、それっぽく見えるよう並べてわかりにくくしつつ、責任を各部署に丸投げして、それぞれが頑張っている風を装ってもらっているところなんだけども、本質はどうにもなんないし、なんだかなあ。
- とりあえず、ほとぼりが冷めるまで何か対策をするフリをするけど、その後は適当に放置でいいんじゃないか。それから一応親しい人にメールの1通くらいは出しておいてちょっとそこらの料亭で談笑しながら時間を稼ぎつつ、ぬるく責任の押し付け合いをしてお茶濁しておくとしますよ。
- 訳注