カバ中

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渡辺さん
渡辺「あれれぇ~、ここでは本のカバーをめくった中身を紹介しているよぉ~?
本のカバーのにほひが好きになるカバ中(かばちゅう)については……」
……
……
渡辺「ふえぇぇん……本屋中毒のページはまだできてないよぉ~……」
佐藤「……(かわいい///)」

カバ中(かばなか)とは「のカバーをめくった中身」の略で、表紙絵・あとがき・オビと並ぶ書籍の価値を決める四大要素の一つである。

デパ地下や駅ナカと同じく、近年まで多くの人が目にしているのに有効利用されていなかった部分を利用した、単行本などの書籍に対する付加価値戦略の一つと考えられる。

概要[編集]

このように、カバーをめくって何か描かれていたらちょっと嬉しいものである。

書籍(ここでは特に文庫本や単行本などの紙装丁をさし、雑誌類は含まない)の表紙は、その外観を装飾するため及び書籍を傷や汚れから守るために製のカバーがついている。カバーは書籍本体と異なり、多色刷りや箔押しなど特別な印刷を利用しやすいため、書籍の内容の薄さをカバーすることが可能となる。

このような事情から、書籍のカバーが美麗な装飾や絵柄で埋め尽くされていく一方で、書籍本来の表紙であるカバーを取った中身の表紙(出版の業界では表1という)は簡素な、個々のデザイン性に乏しいものであった。この傾向はおおよそカバーが使用し始められる頃から続いているもので、文庫本では岩波文庫のそれを代表として80〜90年代のほぼ全て、漫画などの単行本でも80年代のほとんどが、「カバーは多彩だが、一度それめくるとほかと区別がつかない」という装丁であった。

ところが、特に漫画単行本において、2000年代からカバーをめくった表紙、カバ中を利用し雑誌類に未発表の書き下ろし内容を発表したり、元来「あとがき」として描かれていた雑談や作品紹介などの内容を描き込んだりといったケースが目立つようになった。初期(散発的にみられるようになったのは90年代から)のカバ中の利用は読者に気づかれずに終わることが多かったが、「発見した読者のお得感」は絶大なものであり、そういった「カバ中使用」の作品が水面下で話題となり、2000年代から流行となっている下地となったようである。現在でもカバ中文化は続いているが、量・質共にやや飽和気味となっている。

歴史[編集]

文庫の付加価値「あとがき」[編集]

90年代中頃から、角川スニーカー文庫富士見ファンタジア文庫を双璧とした、いわゆる青少年向け小説文庫はその種類、数共に急激に増加し、飽和状態となっていた。インターネットの普及をあと10年待たなければならないこの時代、読者に継続して作品を購入してもらうために作者は(そして編集をおこなう担当者は)、「作品そのものの良し悪しよりもその巻末に書かれた作者のあとがきで読者を惹きつけよう」という戦略に出た者が少なくなかった。一見姑息に見えるこの方法も、文章媒体にとらわれない表現が可能であったこと(中にはイラストレーターに2ページ程の、作者と作品の登場人物を交えた座談会漫画を制作させた者もある)、作者自身の日常や本音などを自由に書ける(自分の無駄遣い日記を延々書き連ね、ついには無駄遣いに対して逆ギレするエッセイを書いた者もいる)などといった当時斬新さが感じられるような企画であったため、読者層の心はガッチリ掴むことができた。

「あとがき」と文庫本の衰退[編集]

しかし2000年代になり、あとがきの内容にマンネリ化が進行し始めていた。これは、「あとがき」戦略が文庫のみならず漫画の単行本にまで広がったことも関係している。前述のような「座談会漫画」や「エッセイ風漫画」などは現在でも漫画単行本のあとがきでは主流である。さらにインターネットの普及により、単行本作品やそのあとがきまでの評価情報を手に入れることが容易になり、「あの作家は『あとがき』だけ面白い」と揶揄されるように、あとがきが面白いだけでは読者の心を掴むことが難しくなっていた。 文庫本業界では、文字媒体という縛りもありこれに対する明確な答えを打ち出すことができず、「青少年向け小説」というジャンル自体がすでにそれ単体で作品を発表するという形態から離れ、メディアミックス戦略の(比較的小規模な)一角となったこともあり、これ以降付加価値戦略には大きな影響は与えていない。

新たな付加価値「カバ中」[編集]

代わって出版業界がこうした付加価値を追究したのは漫画単行本であった。と同時に、今まで顧みられなかったカバ中を見直す試みが行われたのも、漫画単行本でのことであった。漫画では、あとがき隆盛期であった90年代前半頃から早くも実験的なカバ中が作られ、カバ中流行の下地を作り上げていた。当時の実験例としては、1990年末から連載が開始された新井理恵の『× ―ペケ―』(単行本1巻は1992年 ISBN 978-4091348012)が挙げられ、10年近い期間に巻を重ねてもカバ中の内容は、そのレア感を際立たせるあとがき型のお手本とも言える純粋な漫画としてのネタと、後述する作家らが私の発案をパクりやがるというボヤきで終始一貫していた。

カバ中を利用したネタを単行本に置いた最初の人気作品は、衛藤ヒロユキの『魔法陣グルグル』(1巻は1993年 ISBN 978-4870250543)である。作者が元イラストレーターであることもあり、カバーとカバ中の対比を狙った「舞台裏型カバ中」の基礎かつ模範とるネタを作り上げた。同時期にはほかに、ガモウひろしの『とっても!ラッキーマン』(1巻は1994年 ISBN 978-4088712475)における文字ネタ(「内輪ネタ型カバ中」に分類される)や、島袋光年の『世紀末リーダー伝たけし!』(1巻は1997年 ISBN 978-4088725086)における1コマ漫画(コレも内輪ネタが多いので「内輪ネタ型カバ中」に分類される)があげられる。このように初期のカバ中は、カバーをめくった者がクスリと笑える一発ネタを用意する例がほとんどであり、使用された作品はほぼギャグ漫画に限られていた。この時代にはシリアスな内容の漫画はもちろん、コメディタッチの漫画にさえもカバ中は利用されていない。

「カバ中」の大流行とその未来[編集]

2000年に入り、アニメ小説ゲームなど一連の作品がメディアミックスの名の下にコミカライズされ、それらを原作とする、あるいはアニメ化する前提で作られた、多くの漫画作品が登場するようになった。その際、文庫本作品のセオリーであるあとがきを漫画に持ち込むと同時に、文庫本よりも大きなスペースを持つ単行本のカバ中が大々的に利用され始める。

その利用の仕方は様々であり、後述に列挙されるような典型はほぼ出尽くした状況である。中には本来作品本文に収録すべきあとがきをカバ中におく場合もあり、初期のようなカバ中を作者の新しい表現の場として利用しているとは言い難い例も存在する。

2009年時点でカバ中は(漫画単行本自体の過剰供給もあり)飽和状態であり、新しい付加価値の形態として初回特典ドラマCD、別冊小冊子、とらのあな限定書き下ろしピンナップなどのオマケアイテムにとって代わられつつある。しかし、以前の付加価値であったあとがきが依然として作品に付随していることを鑑みて、カバ中もまた立派な付加価値として付随していくことは確実であると思われる。

特徴[編集]

ここではカバ中全体に共通した特徴を記述し、個々の種類については後述する。

一色刷り
カバ中は基本的に一色だけを使用する。色はさまざまであるが、YMCKによる混色ではなく指定した一色のインクで刷るので制限は大きい。これは、印刷コストを抑えることはもちろん、読者が見るかどうか分からないというリスクに対する効果の大きさを考慮した結果である。
大胆な裁ち切り
製本上、カバ中には本文並みの裁ち切りの精度が求められないことが多い。これを考慮したカバ中のレイアウトが必要である。だが、元々そんな精度を求めるネタを読まれないかもしれないカバ中に置く者もいない。
かんたん作画
カバ中に描かれるイラスト、漫画にはかんたん作画の技法が用いられることが多い。あとがき、カバ中、各種オマケと単行本製作が著者にもたらす負担が日に日に増大している現在では、かんたん作画が用いられる機会はますます増してきているといえる。

個別の分類と特徴[編集]

舞台裏型[編集]

作品本文に登場するキャラクターが、(本文の世界観を多少保ちつつ)本文とは関係の無いやりとりをおこなう、という型。先の『魔法陣グルグル』のカバ中が該当し、これはさらにセルフパロディの部類に入る。カバー→カバ中、あるいはカバ中表→裏の2コマ漫画のような展開をもつことが多く、頻繁に利用される。

作者が新たなネタ製作、作画をしなければならないことが欠点だが、これを継続することで読者の期待をあおる効果は大きなものとなる。

よく使用される表現
「カバーで格好付けるのは疲れる」とだらしない姿になる(かんたん作画になる場合もあり)。
カバーでヒロイン以外の女子と仲良さそうにしている主人公になんたらかんたら

あとがき型[編集]

文庫本時代から続くあとがきを、漫画として描いたもの。作者自画像を基にしたキャラクターが登場し、日頃の鬱憤を晴らす。元々単行本巻末に描かれていたものが、ページ数の都合でカバ中に移動してきた場合が多く、真にカバ中を利用しているとはいえないとする意見もある。

よく使用される表現
「わざわざこんなところまでご覧いただきありがとうございます」
「あれ……? こんなところにもあったんだ……。」

設定資料型[編集]

漫画本文の登場キャラクターに関する設定資料を掲載するパターン。キャラクターのイラストは使い回しが利用され、作者の負担は少なくカバ中を見栄え良いものにする事が可能である。これの派生としてカバーの下書き(原画ともいう)を掲載するパターンもあり、この場合はさらに文字情報も不要である上に作者の熱狂的なファンからは往々にして受け入れられやすいものであるため、多作な漫画家、イラスト重視の漫画家によく用いられる。

ちなみに、これはカバーのイラストの単なる単色刷とは区別される。カバーを単色(あるいはたかだか2色)にしてカバ中に印刷する方法は漫画単行本初期から利用されていたものであり、ここでいう別のイラストを掲載したものが登場するのはもっと後になってからである。

その他[編集]

その他少数のものとして、(作者ではなく)担当が書いた内輪ネタ型、「カバ中を切り抜かせる」など非現実的な利用法を読者に薦めてもう一冊購入させようとする販促型、他の漫画家にカバ中を描かせるゲストページ型などが存在する。

関連[編集]

カバ裏
カバーをめくったときの、カバー自体の裏面のこと。カバ中との混用がしばしばなされる。基本的に白紙であるため、カバ中と同様な利用法がなされる場合がある。しかしカバーは破損することがしばしばあること、カバー表面への写り込みが避けられることなどから、カバ中ほどの流行は見られていない。時雨沢恵一作のキノの旅では、このカバ裏に文章を印刷して、図書館司書に怒られた。
ミミ
カバーが表見返しに折り曲げられた部分。著者近影という変装の名人の画像が御守りのように掲載されているため、付加価値戦略に使用される頻度は少ない。

関連項目[編集]

Makesophia.gif
執筆初心者のために、先輩風を吹かしたアンサイクロペディアンが「記事の書き方」を発表しています。
Wikipedia
ウィキペディア専門家気取りたちも「カバ中」については執筆を躊躇しています。そのような快挙を手際よくやりおおせたことは、我らの誇りです。