パスサッカー

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パスサッカーとは、これまでのサッカーで重要視されていた「強さ」と「速さ」を完全排除し、緩いパスをひたすら回し続けて観客を睡眠に誘う最先端の戦術である。

概要[編集]

試合中に選手間でショートパスをつなぎ、つなぎ、つなぎまくって90分間を過ごす戦術である。20m以上のロングボールを蹴るのはNGであり、ピンチの場面で敵の目の前でボールを奪取しても前方にクリアではなく近くに居る味方選手にパスを出さないといけない。もちろんドリブル突破もNGである。ミドルシュートやロングシュートに至っては打ったら罰金ものである。サイドチェンジもショートパスを3本以上つないで行うのが理想とされている。

建前上は一応「パスで崩してゴールを目指す」ことを謳っているチームが多いが、自陣でひたすら横パスに終始し、たまにセンターラインを超えたらゴール方面とは逆方向へのパス(バックパス)をすることが大半である。

他のサッカー戦術との比較[編集]

パスサッカー戦術について、その対極と言われる「カウンター」戦術と比較してみる。

戦術比較
プレーシーン等 カウンターサッカー パスサッカー 備考
選手構成 電柱型、スピードスター、アタッカー、強靭なDFとボランチなどバラエティに富む GKとCB以外は身長の低いパサーだけ パスサッカーにフィジカルもアジリティも高さも必要ない。
ピッチコンディション 万能型 良馬場のみ 至高のパスサッカーには至高のピッチコンディションが必須。芝が剥げているのは論外。雨でボールが滑りすぎるのもダメである。
主なプレーエリア
(ボール保有時)
相手陣内 自陣 自陣で横パス→横パス→前方パス→バックパス→最初に戻る…これを繰り返すのが理想のパスサッカーとされている。
ポゼッション率 中~低 高いと言っても自陣でボールを回してるだけのことが多い
パスをつなぐ OK OK カウンター型でも平常時はパスを繋いで良い。むしろ、戦術批判をされないように適度にボール回しをすることが推奨されている。
カウンター OK NG パスサッカーの場合、カウンターのチャンスでもまずはバックパスから始まる。
長い縦パス OK NG パスサッカーで長い縦パスは厳禁である
クリア OK NG パスサッカーでは自陣深くで相手に迫られたとしてもショートパスで繋がないといけない。
ゴールキック ターゲットマンを狙う 近くのDFに転がす 足元技術がフィールドプレーヤーの中で最も劣るDFにパスし、相手チームが当該DFのトラップの瞬間を狙うスリリングなシーンは、パスサッカーの醍醐味の1つである。
GKへのバックパス 大きく蹴るor近くのDFにパス 何があっても近くのDFにパス たまに相手FWにパスしてしまい失点を食らうことがあるが、それもパスサッカーの醍醐味である。
ミドルシュート OK NG ミドルシュートが打てそうな場面でも、パスサッカーの場合はパスを繋がないといけない。
ロングシュート OK NG パスサッカーでロングシュートを打ったら良くて罰金、最悪翌日から戦力外である
直接フリーキック ゴールを狙う サイドにつなぐ パスサッカーではミドルシュートがNGなので直接フリーキックでもシュートはNGである
コーナーキック ターゲットを狙う ショートコーナー パスサッカーではショートコーナーから5本以上のパスを繋げてペナルティエリアに迫らないといけない。
ペナルティキック キーパーの動きを推測して蹴る キーパーにパスする パスサッカーではPKの場面でもパスを忘れないのが肝要である。パス先はもちろん敵のGKだ。シュートしたつもりでもキック力が弱いので結局GKへのパスになるが。
ドリブル OK NG パスサッカーではドリブルもNGである
フリーランニング 歓迎される 無視される パスサッカーではスペースに走りこんでもボールが来ることはない。
前線からのプレス ショートカウンターに繋がる ショートカウンターを食らうきっかけになる プレスを掻い潜ってパスを回すのがパスサッカーの醍醐味であるが、たいていプレスに敗れる。
インターセプト 状況次第 されやすい 足元でつなぐパスサッカーのほうがインターセプトしやすいとプロ選手も言っている。
サイドチェンジ OK 出来ない 普段短いパスしか出せないのでサイドチェンジを行っても失敗するだけである
セットプレーの守備 それなり 弱い パスサッカーはセットプレーの守備は激弱であるが、それもパスサッカーの醍醐味である。
パススピード 速い 遅い 速いパスを出して相手がトラップミスした場合自分のミスとなるため、パススピードは遅いほうが良いとされている。
トラップ それなり 下手 パスサッカーでは速いパスは厳禁であるため、遅いパスをトラップミスしなければ良い。従ってトラップ技術はあまり必要ないのである。
FWのキープ力 高い 低い なんでパスサッカーでキープ力が必要になるんですか?
シュート決定率 普通 低い パスサッカーでは本来シュートすべき場面でも頭のなかで「パス」という選択肢が選手の頭をよぎってしまうため、シュート決定率は落ちる。相手GK・DFだけでなく、自分自身の中にある「パス」という迷いにも打ち勝って初めてゴールが決まるようになっている。
ボールを相手に
奪われた時の行動
全力で取り返しに走る 何もしない パスサッカーではボール奪取のためにポジショニングを崩すことは厳禁である。後ろの人が取り返してくれることを願いながら直立不動で待機する。
相手陣内でボールを
持った時の行動
スルーパスorサイドのスペースに出す バックパス パスサッカーでは相手陣内で前方にパスしようとしてボールを失うよりは、無難にバックパスしてポゼッションを上げるほうが良いとされている。
パスの出しどころが
無い時の行動
ドリブルで局面打開を図る バックパス パスサッカーではパスを回しているうちに守備陣系が崩れてくれたらいいな…と願いながらバックパスをする。ほぼ間違いなく崩れないが。
GKと1対1に
なった時の行動
シュート or GKを抜く (斜め後ろに居るはずの選手に)バックパス 前にパスするとオフサイドの危険性があるためバックパスを行う。パス先に誰も居なかったりQBKが起きたりすることもあるが、それもパスサッカーの醍醐味である。
パスの出しどころが
無い時の行動
ドリブルで局面打開を図る バックパス パスサッカーではパスを回しているうちに守備陣系が崩れてくれたらいいな…と願いながらバックパスをする。ほぼ間違いなく崩れないが。
GKの育成 世界に通じるGKも育てられる お笑いGKを量産 カウンター型の方が守備機会が多くなるため、GKの育成に必要な実践経験値が多く得られる。一方パスサッカーでは守備機会自体は少ないため飛び出しのタイミングがおかしいGKや何でもないボールをキャッチしそこねて相手にゴールを献上するお笑いGKが量産される。その違いは大宮アルディージャ川崎フロンターレといったカウンター型チームで育った川島永嗣と、パスサッカーのガンバ大阪で育った藤ヶ谷陽介を対比してみるとよく分かるだろう。
DF(CB)の育成 屈強なCBが育てられる 足元だけ人並みのザルCBを量産 GKと同様、守備機会の差異が守備能力の育成に大きく影響する。パスサッカーではCBがボール回しの中心的存在となるため足元だけはそれなりに育つ。ただし相手からプレッシャーを掛けられると簡単にGKに戻したり、時折ボールを失って大ピンチを招く癖も一緒に育つ。
DF(SB)の育成 突破力とクロス精度が育てられる 無味無臭のパサーを量産 カウンター型ではサイドをえぐる突破力とFWを目掛けたピンポイントクロスの能力が重宝されるため、その2つの能力を兼ね備えたSBを育てることが出来る。カウンター型の鹿島アントラーズで頭角を表した内田篤人FC東京で頭角を現した長友佑都が好例である。一方パスサッカーではそれらの能力は「あっても邪魔」とされ、バイタルエリアで自陣に向けて確実にバックパスが出来るSBが育つ。
MFの育成 様々な特徴を持った選手が育てられる 無味無臭のパサーを量産 カウンター型では様々な局面が試合中に訪れるため、ピッチ狭しと駆けまわるダイナモ型選手や一本のキラーパスで決定機を作れるファンタジスタ、局面を打開するドリブラーなど様々な特徴を持った選手が育つ。一方パスサッカーではずっとパスを回し続けるだけで何も変化がない局面が続くため、パス回し以外の能力が求められることはない。
FWの育成 ストライカーが育てられる 空気になるFWが量産 パスサッカーではFWのプレー機会が極端に少なくなるため、前方でただ漂ってるだけの選手が量産される。たまにボールが来ても相手DFにあっさり潰され、何らかのハプニングで決定機を迎えても上述の通り「パス」の選択肢が頭をよぎるため、ゴールを決めることは稀である。

このように、一本のパスやシュートやスペースへのフリーランニングで大きく局面を変えることを一切排除したのがパスサッカーである。パスサッカーではゆっくりと場面が動いていくため、観客はパスサッカーを観ていると少しずつ気持ちよくなり、気づいたら寝ていた…ということも珍しくない。娯楽なんだから肩肘張らずにゆっくり休みながら観戦しましょう、というチーム側の気遣いである。

似て非なるもの[編集]

以下に挙げるクラブがパスサッカーを行っていると言われているが、いずれも似て非なるものである。

FCバルセロナ(スペイン)
パスサッカーの最高峰とされているクラブであるが、その実情は1人1人が非常に高いキープ力を誇り、メッシのドリブル突破、時折見せる裏へのロングパスなど、パスサッカーにあってはならない要素が多分にある。従ってバルサのサッカーはパスサッカーではない。
サンフレッチェ広島(日本Jリーグ)
GKがバックパス処理で決してロングキックをしないなど、パスサッカーの要素はかなり実現できているが、それでもファンタジスタ型プレーヤー高萩洋次郎のダイナミックなプレーと、佐藤寿人の飛び出しというオプションがあるため、これもパスサッカーとは言えない。
INAC神戸レオネッサ(日本・なでしこリーグ)
パスをよく回し、失点の半分以上をGKとDFのパスミス絡みで占めるなどパスサッカーの醍醐味を魅せてくれているクラブであるが、攻撃面ではチ・ソヨンのドリブルと川澄奈穂美のスピード、澤穂希のミドルレンジのパスからチャンスを作ることが多い。またセットプレーで点を取ることも多いことから、これもパスサッカーとは言えない。
滋賀県立野洲高等学校サッカー部(日本)
高校サッカー界で最もパスサッカーが浸透しているチームとされているが、実は2005年高校サッカー選手権決勝の決勝点はカウンターである。従って野洲高校もパスサッカーとは言えない。

本物のパスサッカーを披露したチーム[編集]

ここでは上述のチームとは異なり、本物のパスサッカーを披露したチームを紹介する。

FC町田ゼルビア(2012年)[編集]

2012年のJリーグ2部(J2)昇格時に「いいサッカーをやろう」の合言葉の元、ゴールと勝敗を二の次にしてパスをひたすら回して90分を過ごすことに精を出し続ける試合を披露。その結果2012年シーズンはJ2昇格1年目でありながらボール支配率1位(56.8%)達成という偉業を成し遂げ、さらにJ2最下位&JFLに降格というダブル偉業を成し遂げた。2012年のJリーグはJ1で得点1位のクラブが2部降格という珍事があっただけでなく、J2でもボール支配率1位のクラブが降格という珍事があったのである。

川崎フロンターレ(2012年7月~2013年4月)[編集]

2012年5月に風間八宏氏が監督に就任後、暫くの間はそれまでの川崎の伝統芸であったカウンターサッカーを継続していたが、町田の快進撃に触発されて7月から「町田に追いつけ」という号令の下にパスサッカーの道を邁進。「ボールを止める・蹴る」だけがプロレベルの風間息子2名などをコネ入団させてパスサッカーを徹底させる力の入れ様であった。

しかし当然のごとく成績が伸び悩み、翌2013年はリーグ開幕6試合連続未勝利で監督のクビが険しくなったため、同年5月から前線のブラジル人選手を中心としたカウンターサッカーに戻してしまったことが惜しまれる。

U-17サッカー日本代表(2013年)[編集]

「ポゼッション率80%達成」を目標に小兵のパサーを中心にチームを結成。2013 FIFA U-17ワールドカップのグループリーグでは時折ロングパスやミドルシュートを織り交ぜるというパスサッカーにあるまじき戦術で3戦全勝を果たしたが、決勝トーナメント1回戦スウェーデン戦では当初の目標「ポゼッション率80%」を達成するために自陣~ハーフライン近辺で延々とパス回しを繰り返す戦術に変更。試合の中で決定機やチャンスが訪れてもバックパスや力ないシュートで相手GKに「パス」するプレーを繰り返し、相手のカウンターのピンチではあっさりDFのマークを剥がされた上にGKがお笑いプレーを連発して立て続けに2失点。

その後も決してゴールを目指すことはなく、ハーフライン付近で延々とパス回しを繰り返すだけの戦術を90分間続け、ポゼッション率75%と目標に近い値を叩き出して世界を別の意味で驚かせながら大会を去る事に成功した。育成年代としては弱いフィジカル・お笑いGK・鈍足・貧弱なシュート力というパスサッカーの要素が全て揃った最高傑作と言えるだろう。

パスサッカーを野球に例えると…[編集]

一発長打の類は一切無く、ひたすらファウルで粘り、相手の失投とエラーを誘う戦術と言える。もちろん盗塁はリスクが高いので厳禁である。また、前打者が出塁した場合はバントで確実に次の打者に繋ぐという「2番打者タイプ」で固められたオーダーになる。また投手も三振を多く奪うエースタイプではなく、これといった特徴が少ない地味なタイプのほうが良い。1990年前後の読売ジャイアンツで例えると、このようなオーダーになる。

  • 1番 川相
  • 2番 川相
  • 3番 川相
  • 4番 岡崎
  • 5番 川相
  • 6番 川相
  • 7番 川相
  • 8番 中尾(捕手)
  • 9番 香田(投手)

結論[編集]

パスしかして来ないという戦術ほど守りやすいものはない。

関連項目[編集]

Wikipedia
ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「ポゼッションフットボール」の項目を執筆しています。
Wikipedia
ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「ティキ・タカ」の項目を執筆しています。