最長片道切符
出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
最長片道切符(さいちょうかたみちきっぷ、The longest one-way ticket)とは、鉄道教における巡礼行為の一種である。
この巡礼を成し遂げるには、充分な資金と、有り余る時間、それに鉄道教に殉じようという覚悟が必要である。そのため、この「最長片道切符」は、鉄道教の巡礼のなかでも最も完遂困難なものの一つとして知られている。
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[編集] 概説
「最長片道切符」とは、上記のように巡礼行為の一種であると同時に、その巡礼に使用される乗車券(切符)の通称でもある。具体的には、“日本全国のJRの路線のなかで、数学的に発行可能な最も長い経路の片道乗車券”のことで、2008年10月現在では、稚内駅から肥前山口駅までを右記のような経路で辿るものがそれにあたる(別表1を参照)。この経路での稚内から肥前山口までの運賃計算キロは11552.3キロ、大人1名の片道普通運賃は90820円、有効期間は57日間である。
ある一定レベル以上の鉄道教徒であれば、ここまでの説明を一読しただけで、この巡礼の達成がいかに困難であるかを感じて頂けることだろう。この巡礼に挑むためには、少なくとも以下の条件をクリアしなければならないのだ。
- 乗車券代だけでも90820円。これに加えて、1~2ヶ月分の宿泊費や食費などが必要。
- 1~2ヶ月程度、時間を自由に使えなければならない。
- 時刻表を駆使し、1~2ヶ月分の旅程を自ら組むことができなければならない。
更に、今後、路線や駅の、新規開業や廃止、あるいは路線移設などに伴う駅間キロ数の変更などが行われた場合には、“数学的に発行可能な最も長い経路”が変動する惧れがある。
別表1の経路は、本記事の初版投稿者が責任をもって自らインターネット上の複数の類似サイトでの算出結果を見比べながら求めたものであり、“2008年10月時点において数学的に発行可能な最も長い経路”としては信用に値するものである。書いた本人とひよこ陛下が言うんだから間違いない。が、今後そのような変動があった場合には、自ら(あるいは数学者を雇うなどして)最も長い経路を算出する必要があるのだ。(数学的な算出方法については、専門家気取りによる百科事典の記事が参考になるだろう。)
この記事を見て巡礼を思い立った読者は、どうか検算や確認を怠らないようにしてほしい。経路選定の段階から、既にこの巡礼は始まっているのだ。
[編集] 巡礼の実際
では、実際にこの巡礼を行う場合の大まかな流れについて述べよう。
[編集] 資金の確保
まず、巡礼を行おうとする者は、既に鉄道教の教理・教義をある程度理解している筈である。従って、上記の3つの条件のうち 3. の旅程を組む能力については、誰もが満たしているものと看做して良いだろう。
もしあなたが、自力で旅程を組むことができないならば、あなたにはこの巡礼に挑戦する資格は無い。まずは、時刻表検定試験で2級以上のスコアを出すべく修行に励むことから始めてほしい。(但し、2004年に巡礼を完遂した関口知宏のように、テレビ局などの強大な組織からのバックアップが得られるならば、この限りではない。)
次いで、費用である。上掲したように、乗車券代だけで90820円掛かるほか、宿泊費は単純に1泊5000円×60日としても300000円(30万円)、これに更に食費が1日3000円×60日で180000円(18万円)と、更に「あなたの自宅から稚内駅まで」と「肥前山口駅からあなたの自宅まで」の移動費用が掛かってくる。これらを合計すると、優に60万円以上になる筈だ。
勿論、あなたがまだ若く、駅寝や野宿などを何日続けても体力的な問題が発生しないのであれば、宿泊費をもっと抑えることは可能だろう。また、旅程をうまく組めば、何泊かは夜行列車での車中泊も可能である。しかし、これは1週間や2週間の旅行ではない。最低でも1ヶ月以上は要する巡礼なのだ。適切な宿泊施設、悪くても終夜営業のファミレスやネットカフェか何かに泊まるようにしないと、必ずや早期に体力的な限界を迎えてしまうだろう。
また、食費を「1日3000円」と仮定したが、これも、自分はもっと抑えられるとお考えの方がいるかもしれない。しかし、駅弁はふつう1食平均1000円程度はする筈だ。駅によっては、もっと高額な駅弁しか無いかも知れない。スーパーやコンビニで済ませればもっと安く……と思うかもしれないが、地方都市の場合、駅前にスーパーやコンビニが全くないところも珍しくない。[1]また、鉄道教徒としては巡礼中は誰もがついふらふらと駅弁を買ってしまうものなのだ。ここで仮定した「1日3000円」とは、安く見積もった場合の金額であり、大抵の巡礼者は、実際にはもっと多くの金額を要することになるだろう。
更に、あなたが20歳以上である場合には、これに酒代と煙草代が加わってくる。この記事の初版投稿者は体質的にタバコが吸えないため、タバコ代は一切掛かっていないが、1日あたりの酒代は普段の1~1.5倍程度を費やしてしまっている。何といっても、何か仕事をするわけではないし、車を運転するわけでもない。それに、駅のキヨスクや車内販売などで酒は簡単に手に入る。駅弁とともに車内で飲むビールは、また格別だ。おそらく喫煙者であれば、旅の途中で駅のベンチに佇みながら嗜む煙草も、またきっと格別であることだろう。(なお、当然のことだが、未成年者は酒や煙草は我慢してほしい。そんな下らないことで補導されたら楽しい旅も――、いや、それもまた良い思い出となるかも知れないが。)
話を費用のことに戻そう。そのほか、いくつかの区間では新幹線の利用が必須となっており、それらの区間では最低でも自由席特急料金が必要となる。また、旅程の都合上特急列車に乗る必要が生じたり、あるいは必要も無いのに特急やイベント列車の類に乗りたくなることもあるだろう。
以上に述べた事柄を総合的に勘案すると、この巡礼に挑むにあたっては、最低でも200万円が必要と考えるべきである。
[編集] 時間の確保
あなたが社会人であれば、200万円程度の費用は何とかなるかもしれない。しかし、社会人ということは、ふつうは何らかの仕事(職)に就いているはずであり、1~2ヶ月も連続してその仕事を休むことは恐らく難しいだろう。
勿論、芸術家などの自由業であったり、あるいは自分の意のままに休日を決めることができる個人事業主や会社経営者などであれば、費用の確保さえできれば時間の融通はどうとでもなるだろう。しかし、たとえそのような恵まれた境遇であっても、この巡礼をしている間は他のことが殆どできなくなるのだということは、充分念頭に置いておいてほしい。
そのような恵まれた環境になく、何らかの人や企業・団体など(以下、これらを総称して単に「企業」という)に雇われることによって普段の収入を得ている者の場合は、最低でも1ヶ月程度の休暇をとる必要がある。が、出産や病気・怪我などによる長期休暇が認められる企業はあっても、宗教上の理由――それも鉄道教という、信者の数が決して三大宗教ほどには多くない宗教での巡礼を理由として、1ヶ月以上の休暇を認めるような寛大な企業は、残念ながら現代の日本には殆ど無いのが実情である。とても憲法で信教の自由を保障している国とは思えないが、しかしそれが現実なのだから仕方が無い。
長期休暇が認められないのであれば、巡礼のためには仕事を辞めるしかないだろう。もしも退職金や失業保険などが貰えるのであれば、旅費の足しにもできて一石二鳥だ。
あなたが学生であれば、夏休みなどを利用して巡礼に挑むことは時間的には充分可能だろう。しかし、学生の身分で上記のような多額の資金を調達することは難しいだろうし、もし寄附やカンパを募ったり、あるいは親の脛を齧(かじ)るなどの方法により費用を調達できても、夏休みの宿題をやったり、部活動・サークル活動などに打ち込んだり、鉄道教徒以外の友達と遊んだりする時間が無くなってしまうことは知っておいてほしい。そして、一度しかない青春を、鉄道教のために捧げて良いのかどうか、自分の信仰心とよく相談して、充分に考えてから出発するようにしてほしい。
あなたが定年退職者であり、充分な退職金を得たのであれば、ここまで述べたような問題は些末なことだろう。時間はいくらでもあるし、資金もある。すぐにだって出発できるのだ。
但し、その場合は、この巡礼を終えた後に、することが無くなったために死を選んだりしてしまわないよう注意が必要である。
[編集] 切符の購入
費用と時間の確保ができたら、切符を購入しよう。但し、切符を買う前から(人によっては費用・時間の確保の時点から)既にこの巡礼は始まっているのだということを、まず知っておいてほしい。
当然ながら、この切符は自動販売機では買うことができない。また、車内で車掌から買うこともできない。有人駅か旅行会社などの窓口で購入する必要がある。しかし、この最長片道切符は、駅で90820円払えば、すぐ購入できるという類のものではない。ある程度込み入った経路の切符を買ったことがある方はご存知のことと思うが、駅や旅行会社の窓口にある切符発行用の端末(マルス)には性能に限界があり、このような長大な経路の切符は発行できないのだ。
右記のように経路をわかり易く記し、更に、経路の略記図を付した印刷物を用意し、90820円持って駅の窓口に行ってみよう。そして、係員に、この紙を示して、このような経路の片道乗車券が欲しい旨を申し出る。と、どうなるか。
係員は、自分の身に何が起こったのか理解できず、しばし茫然とするだろう。
次いで、同僚や上司などに、この切符はどのように発売したら良いか相談するだろう。
そして、自らが手作業で、この長大な切符を作らねばならないと知り、絶望するだろう。手計算で運賃計算キロを算出し、経路に重複箇所が無く片道乗車券として発売可能かどうかも手作業で確認し、それを出札補充券などに手書きで書かねばならないのだ。
やがて係員は、あなたの名前と連絡先電話番号を尋ねるだろう。名前は偽名でも構わないが、電話番号は確実に自分に掛かるものを教えておいたほうが良い。切符ができあがったら、係員が電話で教えてくれるからだ。
なお、申し込んでから切符が出来上がるまでの所要日数は、係員のスキルや、駅・旅行会社の規模、その窓口で過去に類似の切符の発行実績があるかどうか、などによって大きく異なる。一部ウェブサイトでは「最低でも1週間はみておいたほうが良い」との記述があるが、この記事の初版投稿者が神奈川県の某中規模駅のびゅうプラザに発売を依頼したところ、完成の連絡があるまでに約2週間を要した。
中規模駅でこれほど時間が掛かるのだから、小さな駅では推して知るべしである。余裕をもって、申込みから通用開始日までは1ヶ月程度開けておくのが良いだろう。……つまり、実際に巡礼する期間を含めると、2~3ヶ月は時間を確保しておかねばならないことになるわけだが。
[編集] 旅程の組み立て
切符が出来上がるのを待っている間に、並行して旅程(タイムテーブル)を組み立てる必要がある。普段あまり計画的な旅行をしない者であっても、ここはしっかりとタイムテーブルを組み、乗るべき列車や宿泊地などをきちんと決めておくべきだろう。再三述べているように、1~2ヶ月はかかる長旅である。僅かなタイムロスでも、累積すればタイムリミットの57日以内に巡礼を完遂できなくなるかも知れない。
尤も、かの宮脇俊三は、途中で体調を崩し、長期にわたって巡礼を中断せざるを得なくなったため、結果的に有効期間内の巡礼完遂には失敗している。但し、「継続乗車船」の制度を利用し、切符を買い直すことなく終着駅までは到達しているため、これを巡礼完遂とみなすかどうかは鉄道教徒のあいだでも意見が分かれているようだ。
組み立てにあたって、どのような方針をとるかは、巡礼者の自由である。未訪の路線や駅があるのなら、そこで降りて観光する時間をとっても良いだろう。例えば、コースは少し外れるが、日本最東端の駅として知られる東根室駅や、本州最南端の駅として知られる西大山駅などは、今回の巡礼のついでに寄るのに丁度良い。その気になれば岩泉線の乗り潰しだって可能なはずだ。
あるいは逆に、光の速さで稚内から肥前山口までを走り抜けるような計画を立てても良いだろう。2008年10月現在、既に何名かが巡礼を完遂させているが、所要時間にこだわった巡礼を行った者の存在は知られていない。実行に移せば、栄光ある「最長片道切符 最速巡礼者」の肩書きは、あなたのものだ。勿体無いので私はそんなことはしないが。
[編集] 所持品
ここで、所持品についても述べておこう。衣類や財布、カメラなど、一般的なもの以外に、特にこの巡礼において必要なのは、以下のような物品である。
- 最長片道切符
- 当たり前である。この切符の経路を辿ること自体が目的なのだから。
- 但し、#切符の購入の項でも述べたように、この切符は発行までに相当な日数を要する。万一紛失してしまうと、90820円の再度の支払いと、相当なタイムロス、更にそれに伴う宿泊費などの諸々の追加出費を強いられることになる。紛失しないように万全の対策が必要であり、巡礼中は絶えずこの切符の所在を確認し続けておくことが望ましい。
- 時刻表
- これも、鉄道教徒にとっては当たり前である。「最近は携帯でも時刻表は検索できるし…」と考えているのであれば、甘い。殆どの携帯サイトは、このような特殊な巡礼に用いられることを想定していないのだ。冊子の時刻表を常に携えておいたほうが、予期せぬ遅れなどの際の対応がし易いし、それに携帯は電波の届かない場所では役に立たない。日本にもまだまだ携帯電話の電波が届かない地域があることを、あなたはきっと身をもって知ることになるだろう。
- ノート
- 写真つきの身分証明証
- 普段身なりに気をつけている人でも、巡礼中は基本的に1人であるため、日が経つにつれて段々と身なりに構わなくなってきてしまう場合がある。勿論、巡礼者は即ち修験者でもあるのだから、身なりに構う必要は必ずしも無い。しかし、例えば霊場巡りなどでは、巡礼者は山間部など人気(ひとけ)の無い地域を巡ることが多いのに対し、この最長片道切符での巡礼は、鉄道を用いたものであるため、時には都市圏の駅で乗換などのために待たなければならないこともある。
- 何日も髭を剃っておらず、大きな荷物を持ち、なんだか少し疲れたような表情で、都市圏の駅に佇んでいる人――、図らずも、何か別のものとの共通点が生じてしまっていることが、おわかり頂けるだろう。そして残念ながら、このような姿が警察官の目に留まった場合は、職務質問の対象となり得るのだ。この記事の初版投稿者が、実際に新潟駅で警察官に職務質問をされたのだから間違いない。
- 職務質問をされた際に、写真つきの身分証明証(運転免許証やパスポートなど)を所持していれば、旅行の趣旨などを説明したうえで何とか解放して貰うことは可能である。しかし、もしも、そのようなものを持っていなかったとしたら――。たとえ結果的には釈放されたとしても、おそらく、相当なタイムロスを強いられることになってしまうだろう。
[編集] 出発
さて、全ての準備が整ったら、出発しよう。
まずは、最北端の駅である稚内駅へ向かうことになる。住んでいる場所によっては、それだけでも2~3日を要してしまうことだろう。
「最長片道切符」への決意をした時点から、既に巡礼の只中にいるのは間違いない。しかし、まだこの切符には、入場印さえ押されていないのだ。ほんとうの巡礼は、これからである。
| この節を書こうとした人は、巡礼に出掛けてしまいました。 帰ってくるまで気長にお待ち下さい。(Portal:スタブ) |
[編集] 脚注
- ↑ このような都市でどうしてもコンビニを利用したい場合は、駅間の幹線道路沿いまで歩く必要があるだろう。