UnBooks:お坊さんの一年

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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昔々、山の上にこじんまりとしたお寺がありまして。
白い髭のお坊さんが住んでいたとさ。
お坊さんは毎日お経を唱えていました。
毎日毎日、雨の日も晴れの日も。
ある日お経が聞こえなくなりました。
ずっと読んでた経が聞こえぬと。
色々がやがや集まった。

四月ネコが言いました、飯も食わずに動けんなったか。

五月アメンボ言いました、水も当たらず乾いちまったか。

六月イタチが言いました、梅雨が辛くて動かんのだろう。

七月セミが言いました、経で鳴くのに疲れたろう。

八月ヒマワリ言いました、おてんと暑うて動けんか。

九月トンビが言いました、秋が近こうて悲しいか。

十月モミジが言いました、ワシとおんなじ冬備え。

十一月には雪降って。

十二月には寺が歪んだ。

一月なっても変わらずに。

二月になっても動かない。

三月蛙が言いました、知っとる知っとる、私は知っとる。

三月蛙が言いました、坊さん冬眠しとるのだ、そろそろ起きんと春が来る。

四月に皆でフスマ開け、がやがやお寺に乗り込んだ。

「あんれま、わたしゃはじめて見たよ」

四月のネコが言いました。座った坊さんいなかった。

四月のネコが言いました。お経の坊さんいなかった。

四月のネコが言いました。いたのは座った仏様。

四月のネコが言いました。あんた随分痩せたねぇ。