UnBooks:猿の歯茎

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
移動先: 案内検索

猿の歯茎。どうして急に思いついたのだろう。猿の歯茎猿の歯茎は、猿の歯茎だ。疑う余地なく猿の歯茎だ。猿の歯茎でしかない。猿の歯の付け根。猿の歯茎には、猿の歯が一本一本植わっている。だからなんだというんだ。私は困惑し、そして願う。これがもし猿の歯茎ではなかったら、柿の葉寿司だったら、どんなによかったことか。賀茂真淵だったら、どんなにたくさんのことが書けただろう。しかし私の頭に浮かんだのは、柿の葉寿司でも賀茂真淵でもなく、猿の歯茎だった。柿の葉寿司も賀茂真淵も知っているのだから、柿の葉寿司であっても、賀茂真淵であってもいいはずだったのに、なぜか猿の歯茎だった。猿の歯茎から漂うすえた臭いが柿の葉寿司の風味にまさり、猿の歯茎というはっきりした音が賀茂真淵の言葉を遮って一瞬、私の頭骨の中に響いた。いや、猿の歯茎はずっとそこにあった。猿は歯茎を剥きだして私に見せつけていた。それが威嚇なのか嘲笑なのかそれすらも私には分からず、ただ猿の歯茎だった。猿の歯茎以外のなにものでもなかった。私にはもうどうしようもなかった。猿の歯茎はいつまでも猿の歯茎としてそこにありつづけた。どうしようもなく猿の歯茎だった。