こっこさん

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こっこさんとは、1999年5月から2000年12月まで月刊まんがタイムジャンボ芳文社刊)において連載されていた漫画である。作者はこうの史代。なお、2005年宙出版より単行本(全1巻)も発売されている。

概要[編集]

この物語は、小学4年生の主人公がある日、道でにわとりのオス、しかも普通に育ったオスを拾ったことから始まるハートフルコメディである。

・・・なんで、そこで飼うの?といった話は受け付けない。

概要(裏)[編集]

この物語は、才能ある漫画家を発掘することで有名、だった(強調)、4コマ雑誌「まんがタイムジャンボ」に連載されていた漫画の中で、最も作者が化けた作品である。けれど、悲しいかな、芳文社は見事にその化けるだけの才能を持った作者を突き放してしまい、結果、こうの史代の珠玉の名作群は、あらかた双葉社の囲い込みのような形になる。

・・・なんで、そこで切るかなあ。

ストーリー[編集]

夏休み前のある日、ちびでやせっぽちで、寝坊ばかりする小学4年生の永野やよいが学校から帰る途中、一羽の鶏が彼女の帰り道を通せんぼしていた。そこで、やよいが給食で残したパンを与えると、道は通してくれたものの、やよいの後ろをついてきた。

しかし、遭遇してから家に帰り、母親に捨てて来いと言われた直後、なぜだか分からないけれど、やよいが自分で面倒を見るとまで言い切って、オスの鶏、しかも別に後で水炊きにするわけでもない鶏を、飼うことを許される。

なお、昔も今もこれからも、鶏の、しかも成長しきったオスがかわいいだなんて話はどこにもない。

しかし、野良ニワトリが道を塞いでいる→それを飼うというストーリー展開を、いくら読みきりとはいえわずか2ページでやりきった作者とそれを許した編集部を見るにつけ、若手作家のムチャとそれを許す編集部の度量が見て取れる。

そのおかげで、作者のショートストーリーの才能が花開く。その結果、連載から6年後に、信じられないほど似てなくてむしろ作っちゃいけないだろ感あふれる手製フィギィアが宙出版から出た単行本の購入者(1名様)にプレゼントされることになる。本当に、驚くぐらいに似ていない。

・・・もっとも、この時点では他の出版社からコミックスが出せる段階で、まだ良好な関係が続いていたわけだけれど、それ以降は完璧に双葉社オンリーという状況になる。

けれども、この時代のまんがタイムジャンボは2003年末に行われた雑誌リニューアルに伴う連載陣の大量虐殺、もしくは粛清とまで呼ばれる転換期を迎えた直後である。その結果、ジャンボ出身の若手作家陣に恐るべき弱肉強食、実力主義の世界が訪れ、多くの作家が消えていくことになっていく中、その場を離れていたことは、作者にとって幸運だった気もしなくはない。ちなみに、ジャンボで生き残ることができた作家陣は、逆にその作品の凄みを増していったことも確かである。

そう思えば、この頃まではよかったんだ。本当にこの頃までは。

ストーリー(裏)[編集]

21世紀直前の1999年のある日、鳥漫画のさきがけとして双葉社の発行する4コマ雑誌「まんがタウン」にインコ漫画「ぴっぴら帳」を連載しつつ、まんがタイムジャンボ内に目次ページの挿絵と犬漫画とメガネ青年漫画の2つを上梓していた作者が、新たなる鳥漫画として、一匹の鶏を芳文社に掲載する。そうしたところ、一部の読者から好評を得、編集部が読みきりから連載に格上げすると、4コマ雑誌におけるショートストーリーであったにも関わらず、ファンは後ろをついてきた。

なお、昔も今もこれからも、漫画家という存在は、成長していく過程が面白い。4コマ雑誌であるほど、漫画家のセンスや画力が成長していく様が面白くて面白くて仕方がない。

しかし、連載してから少したって、読者からこいつぁすごい才能を持つ漫画家が出てきたと思わせることが出来た直後、なぜだか分からないけれど、およそ1年半の連載で物語が終了する。別に他誌の連載が忙しくなったわけでもなく、ストーリーに一区切りついたわけでもないけれど、ジャンボ編集部は次の作品を出すわけでも単行本を出すこともなく、そのままスルー。

そのおかげで、作者がめちやくちや落ち込んでしまい、その結果、作者が自分が最も苦手な題材を主人公にする、などという暴挙を敢行。そーして生まれたのが、男ヤモメのジジイが主人公というある意味衝撃の作品「さんさん録」。これで漫画を諦めるきっかけになればと思いつつ、他誌に一度断られ、その後、双葉社の漫画アクションに再度拾われることになる。そして、その流れで出来上がったのが、作者の代表作である「夕凪の街 桜の国

・・・他誌というのがいったいどこになるかは、深くは考えないことにする。

もっとも、ジャンボ出身の才能ある4コマ作家陣が綺羅星のごとく登場していた中、こういった光景は特に珍しいものではなかった。けれど、その後、スクリーントーンをまったくといっていいほど使用しない作品が、ついぞ見受けられなくなってしまう。4コマの世界はいつの間にやら、紙とペンからパソコンとマウスへと移項しつつありました。

そう思えば、こっこさん終了から、わずか3年の間に萌え漫画ブームが起こり、本格的にパソコンで漫画が作れる時代が始まり、まさにこの頃に、4コマ漫画界を含めた日本の漫画業界にて革命が始まった、と言える時期でした。本当に、この頃でした。

登場人物[編集]

こっこさん
。白色レグホーンのオス。キョーボー。かわいいとはとてもいいがたい、むしろ顔のアップを間近で見ると怖い以外の何物でもない。けれど、この物語はこっこさんを描いたハートフルコメディである。なお、物語の狂言マワシとして、ほぼ自由にどんなストーリーであったとしても引っ掻き回せるという、稀有な存在である。
永野やよい
やせっぽちのちびな主人公。とりあえず、1990年3月4日生まれで、作中において10歳の誕生日を迎える。その後、双葉社で人気が爆発する作者の漫画の多くで見受けられる、主人公の動き方(動かし方)、すなわち作者のリズム&テンポに読者を引きずりこませるための数々の手法が、どれぐらいこの物語で培われたやら。
永野はづき
やよいの姉。1985年8月生まれの14歳。美術部に所属しており、作者が絵描きとしての心情を投影したいくつかのストーリーがある。多分。きっと。
お父さん
こうの作品の常連、というか1つの王道と化しているメガネのお父さん。
お母さん
本名、永野みなも。広島カープの英雄、鉄人衣笠選手の大ファン。幼少期に夭折した姉がおり、最終話で、姉の遺品の靴下をやよいにあげる。親族の死という重いテーマを、さらっと混ぜるんだから、実に怖い。
千倉むつ美
やよいの同級生の委員長。いい子。1年生のときに警察官の父親が殉職し、その後、母親が再婚する話がある。そのエピソードを数年後、双葉社で刊行するレディースコミック「Jourすてきな主婦たち」にて連載したショートストーリー「長い道」にて、物語のキモの部分と絡ませるんだから、実に困ったものである。

登場人物(裏)[編集]

作者さん
1968年生まれ。広島県を愛し鳥を愛しカープを愛し、原爆を憎む主人公。
1993年にデビューした若手漫画家。1995年に街角花だよりで4コマデビュー。デビュー当初は捨てゴマの配置が少なく文字入り、フキ出し入りのコマばかりで、いわゆる伝えたがりに多い寸詰まり感あふれる作風だった。しかし、当初からコマ割りに才能があり、ジャンボにおいていくつかの作品を掲載していく中で徐々にその才能を開花させていく。そこらへんは、編集者の腕でもあり、編集部の腕でもある。
それがなんで・・・
この作品を書いてから3年後に、休刊する直前だった双葉社の漫画アクションに短編「夕凪の国 桜の町」を掲載。そんな終了する寸前の雑誌でひっそりと公開された作品が、第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞及び第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。その結果、漫画アクション復刊。そして同じく、2007年に漫画アクションで連載を始めた「この世界の片隅に」で、今度は文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。さらに、様々な漫画ランキングでも1位を獲得。
なお、それらの作品の多くに、ジャンボで培われたテクニックがあり、こっこさんで見られたストーリー展開が。
だからどうして・・・
担当さん
4コマ雑誌の中でのストーリー漫画という、或る意味立ち位置の難しい作品に対しても作者の才能を信じて自由に書かせてくれる人。作者さんのいくつかの作品のあとがきにおいて、実名で登場しているけれど、さすがに裏方にスポットライトを当てるのは控えたい。
編集長さん
90年代末から2000年代初頭にかけて、まんがタイムジャンボから数多くの新人を羽ばたかせた、或る意味すごい人。でも、その後、まんがタイムジャンボには、掲載陣の粛清という嵐が幾たびも吹き荒れたことを考えると、きっと芳文社内の別の雑誌に配置換えになったんだろうな、きっと。そうであってほしい。本当に、そうであってほしい。
孝壽芳春さん
芳文社のえらい人。てゆうか社長。
日本の4コマ界を大きくしまくった、とてつもなくえらい人。ついでに言えば、まんがタイムきららもこの人がいなければ創刊できなかった。でも、この人がきららの創刊にゴーサインを出したおかげで、芳文社の4コマどころか、4コマ業界全体がひっちゃかめっちゃかになったのも事実なんだよなあ。

せっかくなので、こっこさんにおけるいくつかのひょーげんてくにーっく[編集]

4コマ雑誌に掲載されているショートストーリーであるため、ある意味反則に近いレベルで他作品との違いが表現できている。特に、1枚絵の多さ、もしくは2ページにまたがる大ゴマといった表現は、他の作品ができるわきゃない。けれど、それもまた雑誌の質を上げていた。そーいう表現をこの雑誌ではやれるという点で、大いに質を上げていた。

また、フキ出しの形にもこまごまと手を入れており、普通なら写植担当が行う説明に使われる長方形のフキ出しすら、どう見てもフリーハンドで作成。なみなみのゆれゆれ。もっとも、こんなのはまだマシなほうで、前述のぴっぴら帳では、写植が貼るフキ出しの中の言葉ですら自分の文字で書いていた時期があった。

なお、作中においてスクリーントーンを使用した回数が極端に少ない(数えられるだけで17話中5話、コマ数でいうと17個)作品である以上に、ベタ(黒)で塗りつぶした箇所もまた、とてつもなく少ない作品であったりもする。とりあえず、ベタを使用した対象を数えられる段階ですでにおかしい。

せっかくなので数える。まず、①キャラクターの髪の毛や②自転車のタイヤ、③各種衣装(セーターに靴下、学生服など)④トンカチの頭⑤男子のランドセル⑥半ズボン⑦革靴⑧宝石⑨地面⑩壁⑪木の枝⑫筆箱⑬寿司桶の内側⑭机の影⑮人の影⑯ヤケイ(ニワトリの原種)⑰サンダル⑱夜の闇⑲車輪⑳馬車の陰影・・・それ以外に、心象風景としてコマの中をベタで潰す効果を2回、オノマトペ(擬音)で2回。これだけ表現を抑制すれば、そらあ1個1個のベタやスクリーントーンが映えるに決まってる。

また雑誌内の他の作品と比べて、スクリーントーンにベタを大量に使った作品群があればあるほど、雑誌内において映えることは間違いなく、しかもベタの使用頻度が高い劇画が強い双葉社においては、その色合いはさらに強くなる。作者の特色というものを、ここまで他作品との差異にまで広げた作家というものは、4コマ関連の作家陣においては、2000年代、他にない気もする。

せっかくなので、某誌におけるいくつかの死亡フラグ[編集]

4コマ雑誌に掲載されている作品の中で、その作品の寿命が分かるフラグは幾つも幾つも幾つも存在する。まず、一番分かりやすいのが、巻末にいけばいくほど面白くなくなってくる。もっとも、巻末に実験的な作品を掲載したり、コアなファンを持つ作品を常設したりする傾向も強いので、一概には言えない。しかし、基本的に、巻頭にある作品は生き延びる。

また、コミックスになるだけ連載した作品についても、けっこーな割合で死亡フラグが立つ。これは、どんなに面白い作品であっても他誌への連載数増加などの作者の事情やストーリーもので大団円を迎えたりすれば、コミックスになる分だけ作品を確保して終了するのも当然であり、また、長期連載になるほどにコミックスの購読者が少なくなっていくといった、主に経済的な事情による終了といった、どうしようもない終焉もある。そういった事情での連載終了は、一度連載を切ってリフレッシュする意味での死亡フラグであり、さほど悪い話ではない。ここまではしかし、誰でもわかる、そして納得できる範疇である。

せっかくなので、心底ろくでもない話をする。まず、同じ雑誌内に同じよーな話、設定、キャラのかぶりが発生した場合、面白くないほうが消える。作風についても、生活系や仕事の事情といった、微妙に違う内容で推せる作風とは違い、シュールやほんわかといった作風がかぶると、これまた面白くないほうが消える。当たり前だ。一つの雑誌内でセンスのぶつかり合い、殴り合いをしていれば、どうしたって消えるほうが出る。これはまぁ、仕方がない。しかし、それが明らかな新人殺し、新人引き肉機、新人を消耗することで主流の作家陣を活かすような構成だった場合は、ちと事情が異なる。

また・・・では、文章がつながらないけど、まぁ、いいや。とりあえず、新人はヘタである。当たり前である。しかし、その新人に、他作品との大きな違いとなる、背景小道具の使い方、見せ方、はみ出したり枠外にも情報を込めるようなコマ割りの使い方、何よりも、各ネタの構成の仕方といった「生き残らせるための最低限の情報」を与えるのが編集部であり、編集者なわけで。そういった、最低限の情報を明らかに伝えられていない作品は、どうやったって巻末へと流れていく。実際のところ、面白くなるか、どうやったら生き残れるかを知らない新人が情熱とセンスだけでやっていけるほど、世の中は優しくない。2000年代以降、まんがタイムきららが開けたパンドラの箱の中から、新人4コマ作家当社比10倍増というとてつもない需給バランスが崩れた状態が形成されてからは、特にそうである。正直なところ、新人が一定の割合でつぶれていくのはどうしようもない。ならば、最低限、為すべきことをせにゃならんという話であるけれど、創作を嫌いにならないでくれと願わずにはいられないぶった切りが、とある雑誌にて幾度か見受けられている。まぁ、手広く新人を受け入れている雑誌ならば、どこでも同じと言えるよーな話だけれど。


関連項目[編集]