アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。なぜだろう。は、22世紀(西暦詳細不明、推定2125年頃)に刊行される児童向け雑誌「小学4年生」(学友社)の付録「クイズ・パズル百科」に掲載された問題である。20世紀後半に小学館から刊行されたコミック「ドラえもん」(藤子・F・不二雄原作)の第10巻7話で紹介された。ミレニアム懸賞問題の一つで、ドラエ問題[1]とも呼ばれる。
「アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。なぜだろう。」の全文は以下の通りである。
互いに干渉しない幾何集合群

に対して、自明でない独立幾何変数

をとる。このとき、これらにある数学的処理

を施すと、

のいずれにも干渉しない独立幾何変数

を導くことができることを示し、

を決定せよ。更に、

のプロセスを解析し、3つの独立幾何変数

に対して
量子論的な拡張を施すことが可能であることを証明せよ。なお、

を任意の独立変数とするとき、この一連の操作を『アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。』と定義する。
1980年代、あるコミックにドラエ問題が掲載されていることが話題になった。数学者はこぞってこの問題の解決を試みた。この問題は数学の未解決問題の中でも比較的重要とされており、クレイ数学研究所ではこれに対して20ドルの賞金を用意している。多くの数学者を悩ませてきた問題として知られている。
今後、この記事にも各種の証明が追加されると予想される。ちなみに、「アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。なぜだろう。」に関する証明を発表するには、以下の条件を満たしている必要がある。
- 独立変数
が意味をなすものならば、それを定義しなければならない。
- 「カッパらう」の意義を明確に定めなければならない。
- その証明によってドラえもんを「ケケケ」と笑わせ、「けっさく!」と納得させるものでなければならない。
- 野比のび太が容易に理解できるものであってはならない。
上記の問題を考えるうえで必要となる概念をここでまとめておこう。
定義1 (幾何集合群) 部分集合
が幾何集合群であるとは、次の条件が満たされることである:
- (1)
は単位元
を持つ群である。;
- (2)
は
多様体で、
の近傍として非有界なものがとれる。
が幾何集合群であるとき、
の元を幾何変数という。
以下では、
の近傍全体を
と書く。
定義2 (干渉) 幾何集合群
が干渉性を持つとは、任意の
に対して、或る
が存在して
が成り立つことをいう。
定義3 (自明) 幾何集合群
が自明であるとは、
が成り立つことをいう。また、
を
の自明な幾何変数という。
定義4 (独立) 幾何集合群
の元
が独立であるとは、次の条件が満たされることである:
- (1)

- (2)
![{\displaystyle \forall \ \varepsilon >0\ \exists \ \delta >0\ \forall \ U_{\alpha }\in {\rm {Nbd_{\alpha }^{\mathcal {G}}}}\ \forall \ U_{\beta }\in {\rm {Nbd_{\beta }^{\mathcal {G}}}}\ [\ |\alpha -\beta |<\delta \Rightarrow |U_{\alpha }\cap U_{\beta }|<\varepsilon \ ].}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/99708505c030f54355f9b7a14263f04080e9f9b0)
ここで(1)の中黒はユークリッド内積を、(2)の前の絶対値記号はユークリッドノルムを、(2)の後の絶対値記号はルベーグ測度を表す。
論理的思考による証明[編集]
数学者である出木杉英世氏が夏休みの自由研究に証明を試みた。ギリシャ文字のアルファベットで
は第1番目、
は第2番目だから、
とおく。「カッパらう」を「奪う」と解釈すれば、
と
の和を求めればよいことになる。したがって、
これを幾何的に左右反転させれば、ギリシャ文字の
になる。
以上のことより、数学的処理
は変数の和を幾何的に左右反転させるという操作を示唆していると考えられる。
このように、ドラエ問題を数学的問題に見せかけた論理的思考の問題であると解釈すれば、ドラえもんが「ケケケ」「けっさく」と笑ったことも説明がつく。
ただし、これには多くの研究者がこじつけにすぎないと否定している。
不等式による証明[編集]
出木杉氏の証明の一部を受けて、数学的に証明を試みた者もいる。不等式を用いた証明は、オンライン上に流出した論文により明らかになった。数学者である河豚田鱈夫氏によって2009年に一部修正され、再度発表された。
与えられた文章のギリシア文字と思われるカタカナ部分を全てギリシア文字表記に置き換える:
「
が
を
らったら
した。なぜだろう。」
この文章の特質を考慮に入れると、「した」の部分を「
」と書き換えるべきなのは自明である:
「
が
を
らったら
なぜだろう。」
次に、出来杉氏のいうようにギリシャ文字を数に置き換える:
これらの数の関係性は
であるから、
に注目すると、以下のように表すことができる。
→
から
を減ずる
→
を
で除す
→
を
で除す
→
から
を減ずる
これらを都合の良いようにいい表すと、「
から
を減じ、
および
で除し、さらに
を減ずる」となる。
すなわち、
したがって、
ここで、
であるから、この不等式を書き換えて、
が1より大きいことがイプシロンした原因だとわかる。
は10だと定義しているにもかかわらず、
が最後になって証明されていることから、ドラえもんがその滑稽さに「ケケケ」と笑っている理由がつく。しかし、小学4年生の付録に適している内容だろうかと、やはり批判する研究者も多い。
さらなる考察[編集]
上記の河豚田氏の研究から数年後、出木杉氏がその証明に異を唱えた。
文章をギリシャ文字で書き換える際に、「なぜだろう」の「ろう」も
に書き換えるべきだという意見を唱えたのである。
を含めて議論を進めると
となるが(
に注意)、例えば
として考えると、
という結果を導くため、河豚田氏の証明と本質的に同じ結果が導かれる。
出木杉氏の意見から数か月後、氏の小学校時代の恩師(ある生徒を廊下に立たせ過ぎて問題となった教師)A氏がさらに意見を提出した。
それは「なぜだろう」の「ぜだ」を
とすべきという意見であるが、無理矢理すぎるという理由で黙殺されている。
これに対してA氏は「したを
とするのも無理矢理ではないか」と反論していたが、やはりこれも黙殺され、A氏はこの問題に言及するのをやめた。
故中島らも氏による回答[編集]
故中島らも氏は朝日新聞の「明るい悩み相談室」でこの問題にについて次のような見事な回答をしている。
中島らも「わてがガンマだす」
言葉遊びとしての証明[編集]
実に小学生の問題らしい単純な言葉遊びではないかと考えた。
は
で一旦置いておこう。つづいて
だが、形をよく見て欲しい。中に
が含まれているのが分かる。そこで
から
をかっぱらって(i.e., 差し引いて)みよう。上と下だけが残る。
今度はさっきの
とかっぱらわれた
をくっつける。
不思議なことに
の形ができあがった。
つまり、
は
の部品をかっぱらってくる(加算)、一方
は
の形をかっぱらわれる(減算)を行い、
するのである。
らうの意味が双方にも取れるので、
22世紀の知的感覚を持つ高級ネコ型ロボットの笑いのツボを衝いたのであろう。
もっとも、凡百の考案者によると何が面白いのか全く分からない。
自動車としての証明[編集]
アルファはアルファロメオの事で、ベータはランチアベータ、イプシロンはアウトビアンキY10と考えると、
「アルファロメオがランチアベータと接触したらアウトビアンキY10が出てきた」
と言えなくもない。
関連項目[編集]
脚注 [編集]