UnBooks:完全なるジェンダーフリー
はじめに[編集]
今日も世界のあちこちでその半分を支えていらっしゃる輝かしき女性のみなさん、こんにちわ! 初めまして。私、全世界女性解放戦線の事務局長をしておりますXXXXXと申します。
さて、女性の解放と社会進出の活発化が著しい昨今、諸姉妹におかれましてはご活躍のことと存じ、ますます心強く感じております。
が……しかし。男どもによる醜い嫉妬と中傷誹謗から足を引っ張られ、美しく優秀でありながら、ただ女性であるが故に、ただそれだけのためになかなか社会進出が叶わない、そんな方もきっと数多くいらっしゃることでしょう。醜い男たちの嫉妬こそが、この社会を停滞させ、時として荒廃させていく原因に他ならないことを、醜く愚かで汚らわしい男どもは、決して理解できないのでしょうね……こうなると逆に、私たち美しく聡明な女性たちの方から、男どもを憐れんでやるしかないのかも知れません。
そんな現実におきましても、美しく聡明にして志の高い諸姉妹には諸姉妹の輝かしい栄光の未来が待っているのであり、醜く愚かで低俗な男どもに同情している暇なんてありません。そこで本書においては、そんなみなさんが男どもに抑圧されている現実を脱して完璧な社会進出を目指すために必要なことをアドバイスさせて頂きます。
2021年01月21日 今日も[1]美しくて賢い勝ち組キャリアウーマンXXXXX
まずはカタチから[編集]
何よりもまず、男どもはまず私たち女性の美しい身体を見て「相手が女性だ」と判断します。あのいやらしい目で、じっとりとなめ回すように見ます。あなたの体がそれほど美しいのは分かりますが、当人としては非常に気持ち悪いですよね。キモオタはキモヲタらしく、自分の部屋で美少女フィギュア(別に2次元ならなんでもいいですが)でも鑑賞していればいいのです。と言っても、それすら想像するだけで怖気(おぞけ)が走りますけどね。ともあれ、私たち女性の美しいこの身体を、あのいやらしい悪魔の視線から防御するためには、そして「女性だから」と言って甘く見られないようにするためには、どうすればいいか。必要なのは、まず外見です。『人は見た目が9割』なんて有名な本が出回っているように、人はその外見で9割の評価が決まってしまうと言っても過言ではありません。よって、あの汗ベトベトでお手洗いに行っても手さえ洗わないような男どもなんて論外です。もはや人間として何か大切なものを失ってしまっていると言っても過言ではありません。ただしイケメンは別です。そのワイルドさに、男らしさを感じてうっとりしてしまうこともしばしばです(でも、つき合うなら手を洗うようにちゃんと躾けて下さいね)……やや話がそれてしまいましたが、それでは外見から「女性だからとナメられない」工夫について以下に紹介します。

- 全身を包み隠す。
- これは基本です。白装束でもブルカでもかまわないのですが、とりあえず私たちの美貌と魅力的な身体を、あの汚らわしく忌々しい男どもの視線から守りましょう。そうでなくては、あなたはいつも視線によって姦淫されてしまっていることになります。また、男どもにも全身を包み隠させることを徹底させましょう。なぜなら、アフガニスタンのように女性のみがブルカをかぶっている状態では、全身を包み隠していることが女性であることとイコールになってしまい、美貌と身体を視線から守ることはできても、本来の「女性として甘く見られない」という目的を達せられなくなるからです。また、あの汚らしくおぞましく汚らわしい男どもの姿を包み隠してしまうことで、私たちの純粋無垢な心の精神衛生にも大きく寄与します。※ただしイケメンは以下略。
- 声を出して会話しない。
- これもまた、声によって女性であることを判断させないためであり、筆談でもいいのですが、あの私たち女性に特有の優雅で気品にあふれた、洒脱な筆跡から無骨で野蛮な男どもに私たちが「女性である」ことを見抜かれてしまいます。ですから、この場合は携帯用タイプライターや活字を持ち歩くか、あらかじめプリントアウトしておいた紋切り型の定型文の紙でもいいでしょう。あるいは究極の選択として、私たちに声をかけてくる男どもなんか、どうせ品性卑しくロクでもない男ばかりに決まっていますから、断固として無視という手段もアリです。
- 名前を名乗らない。
- 呼び合う時は番号にしましょう。こうすれば、美しい女性も単なる番号として認識され、あの醜くおぞましい男どももまた番号としてしか認識しないため、お互いに気が楽です。声を出すことができませんから、それぞれのメールアドレス(これも無機質なものに変更しておく必要がありますね)に用件を送受信することで社員同士の意思疎通はバッチリ(もちろん、性別を意識させる文章表現はご法度、あくまで事務的用件のみを伝えるべき)です。
いざ社会進出![編集]
さぁ、以上の準備を整えたら、いざ勇ましく美しく社会進出です。今やあなたは女性としてちやほやされることもなく、差別されない代わりに優遇されることもありません。外見上は男性とほぼまったく同じ、(今回は)白装束をかぶった1人の人間でしかなく、すなわち男と何ら変わらないまったく同じだけの労働量を期待された一個の労働者となることに成功したのです。さぁ働きましょう。男と同じ量だけ、男と同じ時間だけ。その代り給料や待遇は、まったく男と同じになったのです。
え、定時になった? それがどうかしましたか? 仕事が終わらない以上、徹夜も覚悟してもらいます。
え、お風呂に入りたい? そのくらい我慢して下さい。垢で死んだ人間はいませんよ。
え、生理痛? なんですかそれは? あなたに休まれると業務に支障が出るのです。
男と同じ給料・待遇で働く以上、男と同じ仕事をしてもらいます。たとえマグロ漁船だろうが、法律上女性の就労を禁止されている鉱山業務だろうが、必要とあれば格闘技にだって出場させます。いいですよね、認識番号R-7038さん。あなたは社会的に解放された存在なのですから……
〜 完全なるジェンダーフリー について、オスカー・ワイルド